コラム

ねじ・ネジ

クニモトの製品のほとんどに使用されているネジ。
というよりネジがなければ、製品は生まれなかったともいえる大切な役割を果たしているのがネジなのです。
ネジとは広辞苑によるとモノをしめつけるためのらせん状のミゾのあるもの。ねじるを名詞化したものとあります。
私たちの身の周りのあらゆるものに使われているネジは車では約3000本、さらに部品点数が300万個以上といわれている航空機にはちょっと想像できない数のネジが使われているのです。

アルキメデスの揚水ポンプ

ネジの歴史は、いくつもの説がありますが、そのひとつがアルキメデスの揚水ポンプ。紀元前280年前頃に使用されていたとされるもので木製の灌漑用水のためのものです。

ネジの定義にあげられる、しめつけるという働きを持つネジは同じ頃ギリシャで使用されていたオリーブオイルのためにオリーブを圧搾する装置がルーツともいわれています。

そして15世紀になるとレオナルド・ダ・ビンチが、ネジを切る旋盤のスケッチを残していることでもわかる通り、いわゆる我々が目にする様な金属のネジはこの頃に出現しました。

火縄銃

このヨーロッパのネジが日本に登場したのは、15世紀種子島火縄銃の伝来によってでした。
この火縄銃の尾栓ネジは銃身の端末側に取つけられ、銃を撃ったときの火薬の残りカスなどを取出したり、ネジをはずして銃身の曲りを見たりするためのものでほぼ私たちの目にするネジのカタチをしています。
日本の金属製のネジの歴史は、ここから始まったといえるのですが、本格的な工業用ネジの生産はずっと後、明治に入ってからでした。

新しい未来をひらくネジ

今、日本のネジは高度な技術により発展をつづけ、年間9000億円もの市場を持つに至っています。

わずか0.4ミリという精密機器などに使われるネジから、橋脚を支える巨大なボルトまで、あらゆる用途に対応するネジの世界は今もどんどん進化しています。

なかでも今注目を集めているのは医療用の「骨ネジ」。
これは骨折などの手術の時、従来は金属のピンで止めていたものを手術時にピーナッツ大の骨をとり出し、その場で独自に開発されたコンピューター制御による超精密加工装置で、患者の「骨ネジ」をつくり出して骨折の手術に用いるという画期的なネジ。患者さん自身の骨でつくったネジは、後日、金属のピンのように取り出す必要もなく、そのまま骨になじむというすごいネジなのです。

わずか数ミリのネジによって、又今まで考えられなかった材質を用いることによって、常に新しい未来をひらいてきたネジ。だからネジは「産業の塩」とも言われているのです。

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