製品の開発秘話
The History of Kunimoto Products
01「KS タイ」
1964年 東京オリンピックのあと、高度成長期を迎え、日本列島は建設ブームを迎えました。当時、建設現場のコンクリート型枠はバタ角と呼ばれる角材を番線で締めつけるか、ネジで締めつける工法で固定されていました。
仮設足場が木製からパイプに変わるなど技術革新がつづくなか、クニモトは番線にかわる締め付け金具の開発をめざし研究を重ね、クサビを使った型枠締付金物
特許「KS タイ」の開発に成功したのです。
特許「KS タイ」はその確実な締め付けと着脱のし易さが高く評価され、クニモトの開発志向型モノづくりの幕開けとなったのです。
02 クニモト社員が語る製品の魅力
「KS タイ」は発売されて半世紀をこえた今も建設現場では丈夫、安全・安心と高い評価をいただいております。
クニモトのモノづくりが他社と大きく違っているのは現場主義の徹底です。
開発の私達も積極的に現場におじゃまして、現場で我社の製品が実際に使われている状況を見、声をきくことを大切にしています。
KS タイの開発当時、型枠締付金具の主流はネジ式でした。
クニモトが開発に取組んだクサビ式は、つけはずしはネジ式に比べ圧倒的に簡単でしたが、振動でゆるみやすいという致命的な欠点がありました。
クニモトはこのクサビに略平行部をもうけて振動に対してゆるみにくいクサビの開発に成功し、クサビ締付金具のパイオニアとなったのです。
現場からの発想という地に足ついたモノづくりの伝統は、今もクニモトの製品開発の柱なのです。
コンクリート打設時にバイブレーターにより振動をかけるとクサビは抜けるという固定観念があるなかでクニモトはクサビに略平行部を設けることで抜け防止に成功。
特許「KS タイ」が誕生したのです。
03 製品特徴
バイブレーターの振動にもゆるみにくい、独自の略平行型クサビ。板厚も余裕の4.2mm。クサビの頭部を斜めにカット。高い場所にあっても打ち込みやすい形状です。
板厚3.2mm。最適な材料を使用した 特許「KS タイ」の原点となるクサビ式締付金物。位置決めが簡単で正確にできる独自のS字形状。
大きな力に耐えられる2本のリブを持った当板。
バタ角の間隔が広い時は、裏使いもできます。
01「KS コ型クランプ」
1973年に始まった東大寺大仏殿の大修理。
国宝修理というきわめて特殊な現場の仮設足場で採用されたのがクニモトの「KS 手摺金物」でした。
国宝の建造物をとりまく仮設足場という限られた現場での安全確保のためのきびしい注文に応えて、改善につぐ改善を重ね大修理が終盤を迎える頃にはついに、今日のクニモトの顔のひとつでもある、一旦締めるとゆるみにくい「KS コ型クランプ」の開発へとつながったのです。
02 クニモト社員が語る製品の魅力
「KS コ型クランプ」は独自の形状で施工時の安定性が抜群に良く、工事現場につきものの振動にも強いと、発売以来50年近く経過した現在でも、現場では常に高い評価を得ています。
「KS
コ型クランプ」は全体が丸みをおびた独特のカタチと、皿バネを装備しています。これは考え抜かれた力学的なバランスと「竹」のしなやかさ、「タマゴ」型の強さからヒントを得た、創業以来変わらない自然から学ぶという思想に基づいています。
発売以来、常に部分的な改良は重ねてきましたが、その基本は全く変わってないということは、本当にすごいことだと思います。
「KS コ型クランプ」は建設現場では決して主役ではありません。しかし、安全を守るという点に於いては今日も主役でありつづけています。
「KS コ型クランプ」の開発の原点「柔構造で支える」を生み出したのは、タマゴと竹。 タマゴは縦方向に押してもその丸みで強いチカラを吸収分散し割れることはありません。このタマゴの丸みの強さをヒントに、「KS コ型クランプ」のコの字型の内側をへこませて 丸みを持たせ、また竹の持つしなやかな弾性を生みだすことのできる皿バネを開発しました。一旦締めるとゆるみにくい安全安心のクランプ「KS コ型クランプ」が誕生したので す。そして「KS コ型クランプ」は科学技術庁長官賞を受賞、クニモトの研究開発メーカーとしての歩みを確かなものとしたのです。
03 製品特徴
ガッチリ保持し、離さない柔構造のコ型。薄板から40mmの厚板までこのクラス最大のつかみ厚。当たり面が広く、深い安定のいいリブ付きで安定感もバツグン。独自のプレス加工によるツバ付き袋状の絞り成形のコ型本体があらゆる衝撃や振動を吸収します。ボルトの先端は自在構造の皿バネ。広い接触面積と相まって、衝撃や振動にも強い把握力を保ちます。クランプの位置を水平垂直と瞬時に変更できる「スイング仕様」。
01「KS コボット」
1995.1.17。兵庫県南部を襲った阪神淡路大震災は全半壊家屋25万戸、30万人以上の被災者という大地震となりました。
自ら被災者となった体験をもとにスタートした耐震補強金物の開発にあたりクニモトが注目したのは1000年もこえて地震に耐えてきた日本の伝統的な建造物でした。ゆれにはゆれることで耐える柔構造で地震に耐えてきているのです。
そのひとつの法隆寺の五重の塔には、今の木造住宅の常識である筋交いはありません。
この伝統的建造物の柔構造をヒントに、木造の木とともに地震のゆれに耐えるユニークな耐震補強金物KS コボットの開発へとつながったのです。
02 クニモト社員が語る製品の魅力
壁倍率というのは建築基準法で定められた地震のゆれに対する壁そのものの強さをあらわす言葉です。
しかし近年地震のゆれに対して、有効なのは壁を単に固くするのではなく、壁の靭性、しなやかさが有効であるという声が高くなってきています。
「KS コボット(ステンブレースシステム)」は阪神淡路大震災の実体験から生まれました。丸いお尻が力を分散するところが特徴で木への負担を軽減しながら地震の力を受け止める、つまり、木が
本来持っているしなやかな特性を生かしながら地震のゆれに耐えるというすぐれものです。この設計思想から生まれた耐震補強金物である点が今、さらなる評価をいただいているのです。
それまでの日本の木造住宅の耐震への考えかたは、金属の金具で柱と土台を固定する剛構造が主流でした。しかしこの剛構造は地震のゆれに対し金物だけが強いため、木に負担がかかり、耐震金物によって柱が割れたり金具がはずれたりしたのです。
クニモトの柔構造耐震金物コボットは、木と共に地震に耐えるために、抗張力、耐久性にすぐれたステンレスを採用、つぎ目のない一体プレス成型による丸みのある独特のフォルムでホゾ抜けを防ぎ、あらゆる方向からの衝撃を受けとめ、分散しながら吸収する理想的な耐震金物を生み出したのです。
さらにKS
コボットに、木の筋交いにかわるステンブレースを組み合わせると、ステンブレースシステムは激しい横ゆれから壁面を守り、床・天井のねじれに対し、優れた耐震性を発揮します。壁補強では、国土交通大臣認定を取得、安全安心の耐震補強金物であることが証明されたのです。
03 製品特徴
丸みを帯びた形状は、縦ゆれ、横ゆれ、ねじれなどの力を分散させて吸収。力に対抗する、理想的な形です。さまざまな実験を繰り返し、最適の板厚(t=2.0mm)に設定。木造住宅をしっかり補強します。しかもコボット本体の取付は専用ステンコーチスクリューでラクラク。施工時間も短縮できます。