ブックタイトル資材事典 Vol.1

ページ
13/166

このページは 資材事典 Vol.1 の電子ブックに掲載されている13ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

資材事典 Vol.1

発想の原点―KSコ型クランプ―クニモトもの語りKSコ型クランプの前身 KS手摺金物KSコ型クランプ 1980年代、時代は建築ブーム。次々と新しいビルが建設され、町が新たな表情を見せ始めていた。現場は巨大化し、ゼネコンが陣頭指揮をとって作業が進められていた。テクノロジーの進歩で建築物の高層化をつづけていたが、支えているのは現場の熟練した職人さんたちだった。ここでもわたしたちは現場に足を運び、ヒントを探した。現場の職人さんから「H鋼とパイプをつなぎ止める金物が欲しいのだが」と相談された。 はじめ、平鋼を曲げてコの字型のクランプを開発したが、コーナー部が割れることが分かった。無理に曲げているので板の内側に負荷が掛かったためだ。どうすれば、頑丈になるのだろうか。いや、頑丈につくる、という観点から離れなければならない。ヒントはとても身近なところにあった。卵と竹である。 卵の形は外敵から身を守るための究極の形状。それは、ショックを吸収・分散させる理想的な形である。 こうして誕生した「KSコ型クランプ」。現場の安全を護るためには、ただ強ければいいという発想ではなく、力を吸収・分散させるという考えを形にしたものだ。クニモトの思想を反映したこの商品は、1994年、科学技術庁長官賞を受賞。まさにコロンブスの卵的発想で、クニモトを開発志向型企業としての軌道に乗せることになったのである。ここに目をつけ、コの字の内側を袋状に湾曲させ、全体に丸みを与えてみた。ただ、頑丈にするだけでは、力と力はぶつかる。だから、丸みを与えることで力を分布させるという逆転の発想だ。そして竹。竹は強い風に揺られても折れることはない。それはしなるという特性があるからだ。現場は必ず揺れがある。弾性があれば、衝撃や振動を吸収することができる、そう考えた。11